ロンドン消息 2021

ロンドンで1年間暮らします

アーティチョーク

4月7日、生活必需品の買い出しに出かける。ロンドンでは、食料品はスーパーマーケットか個人営業のお店で調達することになる。街角には所々小さな八百屋さんがあって、道に張り出した棚には珍しい野菜やフルーツ、そして一緒に花なども並べられていて見ているだけで楽しい。日本では見られない謎の野菜が色々とあるようだ。

 

その中で、ひときわ目立っていたのが花のオブジェのような形状をした植物である。タマネギの上に無造作に置かれて売られていた。アーティチョークの一種だった。よく見ると、近くには平たく押しつぶされたような形の丸いアーティチョークもあったが、フォルムの美しさに目を引かれて、釣り鐘型の花のような種類を買ってしまった。さて、どのように料理したらよいだろうか。

 

検討の結果、今回は茹でてみることにした。茎から「花」の部分を切り落とし、さらに花先を少しカットして、沸騰したお湯に塩を入れて15分くらい茹でてみた。茹でていると癖のある独特の香りが広がっていく。なんとなく、ソラマメの香りに似ているような気がする。

 

冷ましたアーティチョークを皿にのせて、食べてみる。手で「花」から「花びら」を一枚はずし、そのまま口へ。歯で「花びら」をしごくと、ごくわずかに果肉が口の中に残る。タケノコの皮を味わっているような風情もある。アーティチョークは、実を食べることよりも、香を味わいながら手や口を動かすことを楽しむ食べ物だった。中国だとお茶の香りを付けたヒマワリの種、日本だと枝豆。食べ終わった頃には、山になった食べ殻が残ることも似ている。文化は違えども、食の楽しみは同じなのだった。

 

f:id:tomokouu:20210409144619j:plain

茹でる前のアーティチョーク