ロンドン消息 2021

ロンドンで1年間暮らします

パースニップ

4月21日、水曜日。曇りである。日が指さないので外気が冷たい。近所のスーパーに買い物に出かける。野菜売り場では、日本ではあまり見かけない根菜が多い。ニンジンの売り場では、赤いニンジンと一緒に真っ白なニンジンが売られている。赤白とり混ぜてパックになっている袋もある。白いニンジンはパースニップという名前である。

 

パースニップはローストすると良いということなので、まずは薄切りにして焼いてみた。ニンジンとは全く異なる驚くべき味である。ぐにゃっとした歯ごたえ。強い香りと甘さに加えて、かすかに薬のような一癖ある清涼感が残る。朝鮮人参をマイルドにしたような味わいだった。強い味の根菜に完全に敗北した。もはや食べられません。

 

困ったので、ローストしたパースニップをスープの具材にしてみる。バターで炒めたタマネギとジャガイモと一緒に煮込むと、パースニップの存在感がマイルドになった。スープを食べると体が温まる。ニンジンを超える薬効成分を感じる。日々食べていると癖になる根菜のようである。

 

スーパーでは、ポテトチップスに並んでベジタブルチップスの袋が並んでいる。袋の中にはパースニップのチップスも入っている。そういえば、『ドリトル先生』シリーズの登場人物(?)のブタのガブガブは、パースニッップが大好物である。井伏鱒二は「オランダボウフウ」と翻訳していたが、英国の日常的な根菜なのだった。