ロンドン消息 2021

ロンドンで1年間暮らします

Wac Arts

4月18日、日曜日。爽やかな快晴である。窓から中庭を見ると、シートを敷いてピクニックをしている家族の姿がある。午後、カムデンの方へ散歩に出た。カムデン・タウンに行く途中の道に、向かい合ってパブとタバーンがある。どちらも「居酒屋」である。パブの方は店内が広そうで、外にも少し座席のスペースがあるが、現在お休み中。「常連さんへ 5月17日から開店するので予約をよろしくお願いします」という張り紙がある。タバーンの方は、道に面してテーブル席を4つ程度作っている。すべて満席だった。店の前で、知り合いのお客さん同士が、握手をしたりハグをする光景が繰り広げられていた。

 

さらにカムデン・マーケットまで足を延ばすと、マーケットは若者たちでごった返していた。数日前に行った時よりも、さらに店舗が開いていて、ゴスやパンクファッションの店が増えている。日曜日ということもあり、かなりの混雑である。そして、殆どの人がマスクなしで、スタンドから思い思いの食べ物を買ってきて、マーケットの広場で飲んだり食べたりしている。道ではパンク姿でエレキギターを持った人が、道行く家族連れにパフォーマンスを繰り広げている。マイケル・ジャクソンの「ビリージーン」を大音力でかけているオープンカーがやって来て、運転主は大声で歌いながら道行く人に挨拶している。運河の橋の上には、「俺を酔っぱらわせるために支援してくれ」というメッセージが書かれた段ボールの切れ端を掲げ持っているパンク姿のロッカーもいた。橋の近くのパブはまだ閉まっていたものの、街の外では「新しい生活様式」以前の世界がほぼ蘇っていて壮観である(ただし、店内はマスク着用が義務付けられている)。

 

もとの道を戻る。坂を登っていくと静かな住宅街になる。街路樹の上の方から「tit」(カラ類)のさえずりが響いてくる。近所の「Wac Arts」という建物までやって来た。「Wac Arts」はハムテッド旧市庁舎で、現在は地域の芸術運動を支援するための施設となった。子どものためのダンススクールやアートスクール、貸しスタジオもあり、アートイベントもできる場所である。1878年に建設され、ビクトリア朝時代の建築スタイルであるが、エドワード朝時代に建て増しされて今日に至るという。ロックダウン中は正面の扉がずっと閉ざされていたが、先週から扉が開き、ビクトリア朝スタイルの特徴あるホールの階段がちらっと見えるようになった。そして、「Wac Arts」の建物横の屋外スペースにビアガーデンが出来ていた。気温が暖かったので入ってみる。入口でマスクと手の消毒が求めらた。スマートフォンでNHSの登録用のバーコードをチェックして、中に入る。広々として混みあっていない。IPAを注文した。ロンドン入りしてから始めて部屋を出て、飲食店に入った日となった。

 

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WAC ARTS